HAPPY NEKO かるちゃーすくーる誕生秘話
私共が教室として使用している建物は、一級建築士だった祖父が17歳の時に設計して建築した建物で、 築79年経った今でも、しっかりと佇んでいます。
私共が移り住む2008年まで、10年間誰も住んでおらず、空家のままだったそうです。 そこから歩いて10分くらいかかるところに移り住んでいた祖母が時々空気の入れ替えや 庭の手入れなどをしていたようで、状態は悪くありませんでした。 ただ、10年間誰も住んでいなかったことで、家の中はずんと重く沈んでるようでした。
私は、最初、ここに住むなんてことは全然考えていませんでしたが、 外国人である夫が、日本らしい建物だと、いたく感動し、ここに住みたいと言い始めました。 私は彼が冗談を言っていると思ったのですが、彼は本気でした。 それから、自分たちで床を張り替え、壁紙を変え、壁にペンキを塗り、隅々まで掃除をし、 応接間をリビングに変え、自分たちが住みやすいように変えていきました。
そして、いつしか、私もここでピアノを教えたいと思うようになりました。 ですが、今、ピアノが置いてあるピアノルームは、以前は色々な物が乱雑に置いてあり、 物置状態になっており、途方に暮れたこともありました。 その中から、不用な物を捨てていくうちに、とても素敵な家具を発見しました。 それは、父方の祖母が15年くらい前に福岡から大分へ越して来る時に持ってきた家具で、 誰も使い手がおらず、物置に放置されてたようなのですが、 よく見ると、昭和初期のアンティークのような、デスク、戸棚、テーブル、チェアでした。 これらを配置し、ピアノを置いてみると、アンティーク家具が光る、 すごく雰囲気の良いピアノルームが完成しました。 私はこの部屋の古い木の匂いがとても好きなんです。
そして、玄関から入ってすぐにある、大きな畳の部屋の使い道を考えました。 昭和で時代が止まったかのような、襖、床の間、欄間、縁側の廊下、装飾品。 私の世代でもあまり見ないような、趣です。 しかも、ピアノルームからも、この畳の部屋からも、 昔からそこにあるであろう、緑豊かな庭を見渡せ、とても良い環境です。
畳で英会話レッスン?畳でアメリカ生まれのMusic Togetherのレッスン? 最初は、どうなんだろうか、と思いながら、スタートしました。 大分市でMusic Togetherのレッスンをしようかなと考えたこともあったのですが、 木や自然素材でできた建物で、子どもたちが走り回れるくらい部屋が広くて、 窓があって、周りに緑があるような、この家と同じように環境の良いところが見つかりませんでした。 そして、あるお母さんの「レッスンに通うことに決めた理由の1つに家がステキだったから」 という言葉を聞いて、今のこの家に誇りを持ってやって行こうと決めました。
そうして、誇りを持ってレッスンをしてみると、色々な方から、 ステキな家だとか、畳と英語というギャップが良いとか、 畳が広いから子どもが思い切り走り回ることができて良いとか、 褒めていただくことが増えました。
あぁ、そうか。 日本人の私たちも忘れかけている、日本の良さがここにはあるのかもしれないな。 歴史のある建物の良さ、本物のい草を使った畳の心地良さ、縁側の木のぬくもり、 紙でできた襖や障子の独特の雰囲気、四季折々の庭、日本にはこんなに素晴らしい文化があるんですよね。 それを、外国人だけでなく、日本に住む子どもたちにも見せてあげたいと思うようになりました。 これからの時代、益々国際化社会になっていくでしょう。 その国際化社会を生き抜く子どもたちを育むのが私共の目的ですが、 日本の心や誇りも忘れないようにしていただきたいと思います。
このように、他にはないような場所でレッスンができること、 恵まれた環境であること、自分の祖父母や親や夫の存在に、常に感謝しながら、 これからも温かみのあるレッスンを皆様に提供していきたいです。